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熊本県八代にある心理カウンセリング・ルーム「メンタル・ケア・ハウス」です。

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心の救急箱First-aid kit at the heart


 八代・水俣・芦北地区で発行されていました『DUSUKINディーネット』。
 2008年8月から11回にわたり私(清原加代子)のエッセイが掲載されました。
 題して「心の救急箱」
 私が日頃想い描いている心のあり様を綴ってみましたので、お読みいただけると嬉しいです。

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    第10回 〜 恐 れ 〜
   

 子供達が歓声をあげながら凧を揚げています。こんな光景に出会うと嬉しく、肌刺す風も快いから不思議です。
 凧、羽子板、独楽、毬、からくり人形・・・江戸末期に来日した西洋人の多くがその美しさや精巧さに驚き、率先して遊びに興じる大人達の姿にも賞賛の言葉を記しています。また当時の日本人がとても落ち着いていた様子も記録されています。喜びや平常心を伝承できたようです。

 ところが明治時代からは、富国強兵、殖産興業へと歩み、経済発展を遂げる中、結果的に「男は恐れ悲しむな。女は怒りを表すな」と感情まで統制され、次第に親から子へと「落ち着く方法」は伝えられなくなりました。そうやって140年が経過。現在ではうつや不安障害に苦しむ人が増加しています。残念ながら、毎年3万人以上もの自殺者が出る原因の第一位はうつです。

  そして、それらの症状のひとつには「恐れ」の感情があげられます。「恐れ」は、何か悪い感情のように思われがちですが、実は未来のために使う大切な感情です。火事になると怖いので火の用心をし、泥棒が入ると怖いので戸締りをします。「恐れ」は生命や財産を守るのに必要で、危機管理の役割をします。人は誰でも、時には気が沈み、不安になるもので、それは健全で当然のことです。性別、年齢を問わず、「恐れてもいい」「不安になってもいい」と知っておくことはとても大切です。ただ、うつや不安障害の人は、他者や周囲に対して過剰に反応してしまいます。そこで、不安が発生するメカニズムを学び、訓練しながら段階的に改善していくことが重要です。 なぜなら、感情は自分で作り出しているからです。

 感情は健康に大きな影響を与えるということが、最近の様々な研究で明らかにされています。そして、感情は認知(考え方や価値観や信念)から発生します。例えば、道で会った人に自分から挨拶したのに、相手が黙って通り過ぎたとします。それに対して―――、
    A「返事をするべきだ。黙っているとは失礼だ(怒り)」
    B「無視されたに違いない。本当に淋しいな(悲しみ)」
    C「私を嫌っている。今度会ったらどうしよう(恐れ)」 という具合に、人様々に思考パターンを持っています。 つまり、感情は外部の出来事によって作られるのではなく、出来事をどう解釈するかによって作られるのです。
    D「無視とも、嫌っているとも限らない。エネルギーを無駄に使うまい。まあいいか。次行ってみよう(平常心)」と解釈することも出来るわけです。

 うつや不安障害の人は、否定的で悲観的な思考パターンになる傾向がありますから、より肯定的で客観的な思考パターンに修正することで、感情も落ち着き、生き辛さが緩和していきます。
 これが最近注目を浴びている「認知行動療法」です。うつや不安障害の改善や予防に役立つことから、医療・福祉・教育・産業などの分野にとどまらず、情緒の落ち着いた家庭にするためにと訓練を始める人も増えています。
  他者や周囲という刺激を受けて、自らを不安にさせるのも自分なら、自らを落ちつかせるのも自分。日本人は、鎌倉時代からこのことに着眼し、精神療法を確立していました。「認知行動療法」は米国で開発されたものですが、日本でも、古来、仏教の教えや禅問答や呼吸法など、日常の中に「認知行動療法的カウンセリング」を取り入れていたのです。古今東西を問わず、心に価値をおく人の英知に、私は深く感動しています。




     
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